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Clinical research2026.01.19

「研究紹介」#5 Outcomes of patients with metastatic non-clear cell renal cell carcinoma receiving contemporary or traditional first-line therapies

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Voila!泌尿器科専門医の竹村です。

この度,ASCO GU 2025で発表させていただいた「転移性非淡明型腎細胞がんにおける全身治療の効果」に関する論文がEuropean Urology Oncology(Impact Factor 9.3)より出版されました(Outcomes of Patients with Metastatic Non–clear Cell Renal Cell Carcinoma Receiving Contemporary or Traditional First-line Therapies: Results from the International Metastatic Renal Cell Carcinoma Database Consortium)。


本研究は,一次治療を受けた転移性非淡明型腎細胞がんを対象とした国際多施設共同研究です。

淡明型腎細胞がんに比べて極端にエビデンスが少ない非淡明型腎細胞がんに特化した世界最大規模の研究であり,ランダム化試験がほとんどおこなわれていない中で臨床経験を通じて現代の全身治療(例:複合免疫薬やカボザンチニブ)が従来の分子標的薬よりも有用なのではないかと着想を得て,本研究を計画しました。

解析を進めていくと,やや意外な結果が明らかになりました。


研究結果の要約

本研究の要点は以下の4点に集約されます。

1. 転移性非淡明型腎細胞がん症例のうち,47%(725/1551)が乳頭状腎細胞がんで,分類不能型腎細胞がん,嫌色素性腎細胞がん,転座型腎細胞がんと続いた

2. 乳頭状腎細胞がんにおいては,複合免疫薬やカボザンチニブの治療効果はほぼ同等で,他の組織型においてはそれぞれの治療法が特徴的な効果を呈していた

3. 肉腫様変化がある症例では,IO+IOが最も高い治療効果と関連していた

4. 非淡明型腎細胞がんは多様であるため,一緒くたにみなすべきではない


研究結果の臨床応用性

上記結果を踏まえて,我々の日常診療はどのように変わるのでしょうか?


まずは,臨床試験が限られている状況下で本データは転移性非淡明型腎細胞がんに対しても現代の全身治療レジメンを積極的に考慮することを支持するものと考えられます。


つぎに,本データを裏付ける分子生物学的な研究が期待されます(実際に,共著として関わった嫌色素性腎細胞がんに免疫薬が効きづらい理由を検討した共同研究がJournal of Clinical OncologyからPublishされております)。


そして,将来的には本研究の結果を含めた高品質なメタアナリシスがおこなわれることによって,腎細胞がんの診療ガイドラインが塗り替えられることまで期待されます。


まとめ

これまでに小規模なコホート研究が進められてきている転移性非淡明型腎細胞がんですが,このように多くの症例数で検討ができたことで,「臨床医の肌感覚ではわかっていることだけどデータがない」というギャップがいくらか埋められたように感じます。


非淡明型腎細胞がんの基礎研究における国内トップランナーである横浜市立大学と共同研究が開始しましたので,願わくは分子生物学的な理解を深めていきたいところです。


だんだんと自分自身の研究を遂行する時間よりもレジデントの研究指導に割かれるようになってきた今日この頃ですが,重要なリサーチクエスチョンはとことん掘り下げていき,微力ながらも腎細胞がんの最新のエビデンス創出に関わっていきたいと思います!!

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